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 市民運動と共に (みさ子の原稿集)

福島の子どもたちを見殺しにしないで!

小川みさ子(鹿児島市議会議員)

 


文科省は4月、福島の子ども(児童生徒)が受ける放射線量、屋外活動を制限する基準を年間20ミリシーベルトと発表。一般市民が浴びても差し支えないと定められた年間被ばく基準は1ミリシーベルトでその20倍だ。子どもが放射能に感受性が高いことは周知のことで例えば10倍だとして単純に計算すると、一般市民の200倍となる。200年分を一年で浴びていいことになる。

 

20ミリシーベルトを撤回して下さい!福島の親たちの闘いが始まった。原子力安全委員会もこの基準を認めていないとのことが判明し、何を根拠にこの基準が決められたのかも謎の福島県の子どもの校庭活動の基準「毎時3,8マイクロシーベルト、年間20ミリシーベルト暫定基準」を、管直人首相も文科省も譲ろうとしなかった。命に関わることがこのように不透明であっていい筈がない。子どもは細胞分裂が盛んなほど放射線の影響に敏感で、まして胎児への影響は深刻なのだから、福島県全体の各所測定値に基づき至急、幼児、妊婦の転居、学童の集団疎開を開始すべき時に、20ミリシーベルトとは何という無謀か。

 

それなのに菅総理は、まるで他人事のように、見直しの訴えを拒否し「国としての考え方がある! きちっと県民や国民に伝える努力をしなければならない」と、逆に理解を求め膠着状態が続いた。この国としての考えとは「パニックを恐れ、福島の子どもたちを見殺しにする」ということなのか。その菅総理がG8サミットで日本を不在にしていた5月27日に「今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1ミリシーベルトを目指す」と、文科省が基本姿勢を文書で示した。事実上の20ミリシーベルト断念の瞬間だった。

 

この大きな一歩こそ福島の父母、市民運動の勝利だ。がしかし、本来は1ミリシーベルト以下を目指さなくてはならないうえに「今年度、当面」と但し書きがされ、しかも学校給食などの内部被ばくは算定されていない。

20ミリシーベルト撤回を確認するまで闘いは続く。

この20ミリシーベルト問題に関する議論が盛り上がる中、せっせと自分の分野を生かし情報を送り続ける市井の学者たちと対象的に、命の視点を欠いた御用学者たちの命に対する姿勢が浮き彫りになった。国が子どもたちを守らないばかりか、福島では放射能汚染をそれほど深刻に受け止めていず、福島圏内のホットスポットでマスクもさせないで子どもを遊ばせている親もいるという実態に驚いた。

 

その背景に福島県知事が県民税で【放射線健康リスク管理アドバイザー】として雇った、被爆二世で長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科長、WHO緊急被ばく医療協力研究センター長、日本甲状腺学会理事長等の肩書を持ち、チェルノブイリ原発事故後の医療協力を続ける山下俊一教授の存在がある。彼は20ミリシーベルトどころか「100ミリシーベルトを超さなければ、全く健康に影響を及ぼしません。子どもたちをどんどん外で遊ばせて下さい」と講演し県民を安心させているが、今、彼の解任署名運動が始まっている。唯一の被爆国で被爆二世の医師が放射能被害を過小評価する罪は大きい。

 

一方、3・11前には安全神話を語っていた小佐古敏荘東京大学教授は「20ミリシーベルトはとても受け入れられない」と涙を流しながら抗議して内閣官房参与を辞任。原発安全論者だった御用学者が抗議の辞任をしなくてはならない程の事態。このことの意味さえ、感じ取れないほど、感性も判断力をも失った菅総理。

 

大人たちの思惑によって、命を蝕まれていく福島、いえ日本の子どもたち!未来を生きるかけがえのない命が見殺しにされていくことは許されない。まさに覆水盆に返らず!チェルノブイリ原発事故では、8000キロ離れた日本にも放射能が飛んできたし、25年経って尚、避難先から帰れない住民がいることを教訓に、被曝量をどうやって抑えるかに力を尽くすしかない。

今こそ脱原発!原発が54基中35基止まっている今は廃炉のチャンス!負の遺産を絶ち切る時だ!(続く)

 











 


 

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