市民運動と共に (みさ子の原稿集)
(市民意見30の会・東京への寄稿〜 市民の意見103号・8月号より)
〈鹿児島から〉 憲法25条に沿った福祉の充実を 小川みさ子 |
日本の社会保障の現状 あまりの低賃金で食うや食わずのまま、宿を求めてネットカフェや24時間営業の店をさまよう若者たちや、働いても働いても生活保護水準でしか暮らせないワーキングプアと呼ばれている人たちが増え続け、生活保護所帯と合わせると日本の全世帯の10分の1以上といわれています。さらに定率減税の廃止による増税も追い討ちをかけ、憲法25条第1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する 」はいよいよ空洞化しているといわざるを得ません。格差是正が声高に叫ばれ、行政も多重債務問題解決の施策に、やっと重い腰を持ち上げたところですが、同条第2項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定しています。社会福祉などの充実は国がなすべき義務なのです。
「野宿生活者をささえあう会」の活動 毎週火、木、日のおにぎり配り、生協連合グリーンコープからの野菜、フェアトレードのネグロスバナナなど果物の無償提供などに支えられ、月1回、元ホームレス生活者の自立支援のための料理会も開催しています。また残った野菜や果物を素材にしたお菓子作りによるお米代稼ぎや衣類集めを続け、この6月には行政に次いで独自のホームレス生活者実態調査も行ない、秋にはNP0法人を立ち上げます。さらに、メンバーの司法書士、大学教師は、社会福祉士、精神保健福祉士などと共に、貧困や障がいなどの理由により連帯保証人の引き受け手がなく、賃貸住宅に入居できない人たちへの連帯保証人の提供と継続的な支援をしていく活動も進めつつあります。
ある高齢ホームレス生活者のケース いつも一人ぼっちのそのおじいちゃんは、5、6人が付き添っていることがうれしかったのか、何度も涙を拭っていました。私が入院保証人になり、ベッドに横たわったのを見届け、家族代わりとしてオムツ運びなどを引き受けることになりました。こうなるまでに最初の通報から実に2週間近くも経過していました。この間、何度も通報が行ったのに、警察は、暴行を受けていても、トイレへも行けず下着が濡れて汚れていても、歩けなくても、現場から別な公園に移して置いてくるだけ……。まるで人間をモノ扱いしているような警察の姿勢には驚きました。77歳のこの方は、幸い入院中に厚生年金があることが分かり、市が大阪の姪を見つけてくれ、大阪の施設へと引き取られていきました。
もう一人の高齢ホームレス生活者の例 いったいどうしたらいいのかバタバタしながら、「野宿生活者を支えあう会」の代表に息を切らしながら報告。身分証明書などは一切なし。記憶も昔のことは詳しく覚えていたりするのに、ごく最近のことは分からないという状態でした。関東大震災にあったこと、海軍だったこと、商売に失敗し身内は妻も子も亡くなって天涯孤独であることなどだけが分かりましたが、放浪生活を始めてから20年も経ち、とにかくもう野たれ死ぬしかない……と生きる気力が失せていました。
市役所に事情を伝え、さてどうするべきかと悩み、交渉を重ねるうち、市役所側から養護老人ホームを紹介されました。感染症がないという検査証明をもらうため、市側が出した診察(検査)命令書を持って病院に走り、検査後、入院が許可されました。1年以上お風呂に入っていないということで、まずは看護助手に体を洗ってもらい、着替えを準備し、市役所職員との連携で入院そして入園OK、となりました。
NHKの番組「フリーター漂流」に登場した若者たちのタコ部屋もかなりショックでしたが、養護老人ホームも雑居とは知りませんでした。ここは、憲法25条に沿った日本の福祉の見直しどころだと思い改善を求めています。また「行政・警察・病院などの連携を強化するシステムも構築していかなくては!」と、ますます、私たち支援グループの活動の重要性を自覚しているところです。
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